Typojanchi2017への出品作品。テーマの「Body」に対して籠文字や髭文字をヒントに制作した。これらの文字が生き生きとして見えるのは、字の骨格(字体)よりは、肉(字形)に当たる部分による。他人より目立ちたいという、江戸の民衆の意気の張り合いの結果、文字同士の識別が難しくなるほどに太くなった籠文字は、その張りが美しい。筆のかすれの再現を超えて一つの様式となった髭文字は独特な風格を湛えている。これらの文字の野性味に、デザインの合理性をぶつけることで、新しい文字の佇まいを生み出せないかと考えた。髭のついた点を基本ユニットとし、それを繰り返し用いることで「も」と「じ」を構成している。また、二文字が相似形になっていることも大きな特徴である。書と異なるのは、要素の反復が画面に構成としての強さを与えている点にある。