












石川県内灘町にある歯科医院のVI・サインシステム。
日本海特有の風や三角形の敷地など、さまざまな条件から計画された建築である。4つのボリュームが雁行し、勾配屋根が風を受け流しながら、まちの風景にリズムを与えている。内部では一部の診察室に扉を設けず、高い天井も相まって開放感があり、治療の緊張をやわらげる。
この建築と素直に響きあうグラフィックデザインを目指した。検討の起点は、エキスパンドメタルのファサードに設置されるロゴ。医院名を4つに分け、「N」と「M」の斜線を伸ばしてリズムを与えた。ロゴの視認性とファサードの透過性の両立を図った結果、大きく、きわめて細いロゴとなった。斜線角はエキスパンドに揃え、視覚的なノイズを消している。
ここから「おおらかで繊細なサイン」という方向性が見えてきた。診察室番号も大きく、ロゴよりもさらに細いラインで作られている。ラインは等幅ではない。縦横にわずかな差を与え、文字らしさを保った。ピクトグラムも過度な単純化は避け、JISピクトの印象を軸に細部を調整し、この場所にふさわしい佇まいを探った。
仕上がった空間に身を置くと、文字のわずかな厚みや落ちる影、真鍮色の反射が見えてくる。光や視点に応じて表情を変えるそれらは、単なる情報ではなく「そこにある」存在として感じられた。












